軽く、
強く、
背負いやすく
AERIOS BACKPACK
テクニカルパックのNEWシリーズとなる「エアリオス バックパック」は、軽さと強度、背負いやすさと自由度を兼ね備えたハイキング&トレッキング向けバックパック。メンズ、ウィメンズ別に15Lから45Lまでそれぞれ3モデルが揃うなかで、メンズ用30Lパックを中心に、その革新的なコンセプトとディテールを紹介します。
目次
・トレイルランニングパックの軽快さをハイキングに
・軽さと強さを支えるコンストラクション
・軽快な使い心地を追求したパックデザイン
・フレキシブルに使える各種ポケットとアタッチメント
・さまざまな使い方ができる守備範囲の広さ
※仕様説明の画像にて使用しているカラーは、2021年のカラーとなります。
トレイルランニングパックの
軽快さをハイキングに
より軽く、よりタフに、より使いやすく
ARC'TERYXのテクニカルパックには、アルパイン&ロッククライミング向けの「アルファ」、ハイキングからデイリーに使える「ブライズ」「マンティス」があり、新登場の「エアリオス」シリーズはハイキングやトレッキングに特化したバックパックシリーズです。
最大の特長は、30Lサイズで900gという超軽量パックでありながら、オーバーナイトハイキング、つまり、1泊以上の山小屋泊、あるいは軽量テント泊山行にも十分対応する強度や耐久性を兼ね備えていることです。そのため、ファスト&ライトなスピードハイクはもちろん、デイハイクや夏山トレッキング、さらにはマウンテンランニングまで幅広い使い方が可能です。
また、一見ウルトラライトパックにも似たシンプルなルックスですが、そのディテールにはトレイルランニング用パック作りで培った軽快に移動するための機能が満載です。これらは開発者自身がフィールドで使い込むことで得たアイデアであり、それはARC'TERYXの根幹ともいえる開発哲学でもあります。
軽さと強さを支えるコンストラクション
ただ軽量なだけでなく、強度や耐久性、快適性を犠牲にしない。そのために素材を厳選し、考え抜かれた構造を採用しています。
軽量性、耐久性、高強度と三拍子揃った表生地
素材は強度の高い6.6コーデュラナイロン210デニールをベースに高強力200デニールLCPヤーンを織り込んだ軽量リップストップナイロン。軽量で薄手ながら破れや引き裂きに対する強度を高めています。
内蔵パネルで荷重を支える軽量フレーム構造
背面全体には軽量な樹脂製パネルによる対摩耗性フレームシートを内蔵。このパネル状フレームにショルダーハーネスを直接固定することで、パックを体に密着させ、荷重を分散させます。この巧妙なバックパネル構造により、軽量性を維持しながら、軽量バックパックで重荷を運ぶときにありがちな不安定感やバランスの悪さを解消しています。
通気性を備えたエアロフォームバックパネル
バックパネル表面にはメッシュ素材による弾力あるエアロフォームを採用。ドット状の凹凸を設けて立体的に成型することで適度なクッション性を実現するとともに、背中との間に換気効果を生み出して熱や蒸れを軽減。温暖な時期の低山ハイクや夏山トレッキング、運動量の多いスピードハイクなどのシーンでの快適性を高めます。
軽快な背負い心地を追求したパックデザイン
目指したのはトレッキングパックの使いやすさと、トレイルランニングパックの軽快さ。最大のポイントは肩から肩甲骨周辺に荷重を分散させることで、腰まわりの負担を軽減したパックデザインです。
広く開口するパネルオープントップ
30Lの中型バックパックには珍しいジッパーによるパネルオープンシステムを採用。荷物を出し入れしやすく、サイドポケットのフックを外せばJ字型に大きく開口するため、たとえば山小屋でのアンパッキングや荷物の整理も容易です。また、片側の腕をショルダーハーネスから抜いて、クルッと前に持ってくれば、バックパックを下ろすことなく荷物を出し入れすることもできます。
バンジーコードを使ったコンプレッションシステム
30Lという容量にしてはサイドコンプレッションが存在しないことに不安を覚えるかもしれません。でも心配はご無用。実は前面のバンジーコードがパック全体のコンプレッションの役割を兼ねています。フロントポケット内に貫通しているバンジーコードの上部を引き絞ることで、コンプレッションの調整ができます。バンジーコードの末端は左右のサイドポケット内にあり、それぞれコードロック付き。フロントポケット内と合わせて3カ所のコードロックでコードの長さを調整することで、荷物の量や形状に合わせたさまざまな微調整が可能です。
軽量ミニマムなスタビライザー
ショルダーハーネスのスタビライザーは軽量ミニマムなコード&ストッパー式。コードとストッパーの組み合わせにより、テープを使用するラダーロックより軽量設計で、操作感も的確です。締めるときはコードに指をかけて引けば固定され、ストッパーの左右のレバーをつまみながら持ち上げると解除されます。
幅広ショルダーストラップと伸縮性チェストストラップ
まるでベストを着るように上体にフィットする幅広ショルダーストラップは、エアリオスシリーズを特徴づける機能のひとつ。肩から胸、肩甲骨周辺のセクションに荷重の多くを分散させるという考え方は、軽めの荷物を想定したトレイルランニングパックやUL系パックに多いパックデザインです。そのぶん腰への荷重が減ることで腰回りのストレスが緩和され、アップダウンの多いトレイルでも軽々とした歩行が可能になります。
ショルダースタビライザーと同様、伸縮性コードによるチェストストラップは軽量デザインの証。チェストストラップ全体がストレッチするため体の動きによくフィットし、締め具合の調整やフックの取り外しもワンタッチ。もちろん、上下2本ともに、デイジーチェーン上で取り付け位置を簡単に変更できます。また、この幅広ショルダーストラップを生かした便利なメッシュポケットが左右それぞれに装備されていますが、それについては下段別稿であらためてご紹介します。
脚の動きに追従するヒップベルト
肩から肩甲骨まわりでパックの荷重を支える構造のため、ヒップベルトはバックパックの横振れを防いで体にフィットさせることが主な役目になります。バックパネルへの接合位置は骨盤に沿うように斜め方向で縫製されていることで、骨盤の回旋や脚上げ、股関節の動きを妨げません。ヒップベルト本体の構造は、通気ホールを配したEVAフォームによるコアを、通気を促すパンチング加工を施した柔らかなポリエステルニットで包み、長時間の着用に適した硬めの弾力をもちながら、汗や蒸れに対応します。
フレキシブルに使える
各種ポケットとアタッチメント
エアリオスには大型トレッキングパックのような外付け機能や各種専用ポケットは用意されていませんが、フレキシブルな大型サイドポケットや、ショルダーハーネスとヒップベルトのポケット、さらには前面のバンジーコードを上手に使いこなすことによって、背負う人それぞれがアレンジできる自由度の高い収納が可能です。
ショルダーハーネスのストレッチメッシュポケット
左右のショルダーハーネスには行動中に使いやすい位置にストレッチメッシュポケットがあります。ポケットはタテ型二重構造で、500mlクラスのソフトフラスクを収めたうえで、エナジージェルや行動食、スマートフォンなどを表側のジッパー付きメッシュポケットに収納できます。また、ポケット内側のドローコードを締めることで、激しく動いたときや、内容量が減っていったときでもソフトフラスクをしっかり保持します。
容量調節しやすいセミオープン式大型サイドポケット
サイドポケットはほかにないユニークな構造をしています。片側(表側)とボトムが縫製されたセミオープンタイプで、ボトム付近の素材はストレッチメッシュで背中側はドローコードが通っています。この構造によって、アイテムを包み込むように収納し、ドローコードを締めることでしっかり固定できます。
さらにドローコード上端のフックを上下2カ所のループでかけ替えることができるため、収めるモノの形状やサイズに応じて、しっかり固定することが可能です。大きめのウォーターボトル、折りたたんだトレッキングポール、レインウエアやウインドシェル、暑くて途中で脱いだミッドレイヤーなど、1日の行程中に出し入れしたいモノを気兼ねなく、かつ的確に収納できます。
すぐに取り出したい小物はフロントポケットへ
前面上部の止水ジッパー付きフロントポケットは、立体形状に縫製されているために見た目以上に容量があり、トップリッドポケットのような使い勝手が期待できます。すぐに取り出したい行動食やヘッドランプ、コンパクトデジタルカメラ、マップとコンパス、メモ帳に筆記用具といった小物類を収めるのに最適なサイズ感です。
アレンジ自在のフロントバンジーコード
コンプレッションを兼ねたフロントバンジーコードは、脱いだばかりのレインウエアやウインドシェルなどをさっと携行するのに便利なアタッチメントです。また、表面に出ている以外にもコード長に余裕があり、ウェビングデイジーチェーンへの通し方を工夫することによっても、さまざまなコードアレンジが可能です。
ヒップベルトの2つのメッシュポケット
ヒップベルトの左右には、それぞれジッパー付とオープンタイプのメッシュポケット。たとえば、すぐ取り出したいマップだったり、小さなゴミになりそうなキャンディーの包み紙だったり、見た目以上に使い勝手があります。
キークリップ付きインナーセキュリティポケット
キークリップ付きのセキュリティポケットはメインコンパートメントの最上部、ジッパーを開けてすぐの位置に配置。行動中は邪魔にならず、取り出したいときにすぐに手が届いて便利です。
歩きながら収納できるトレッキングポールアタッチメント
行動中にトレッキングポールを収納したいと思ったときに、バックパックを下ろすことなく収納できます。まずはトレッキングポールをヒップベルトのループに差し込み、ショルダーハーネスの専用ループにポール上部を通してフックする。また、折りたたんだトレッキングポールを持ち運ぶときは、背面下部のループとバンジーコードのフックを利用して固定するか、サイドポケット内に収納できます。
軽量ミニマムなハイドレーション対応
ハイドレーションブラッダーへの対応も徹底した軽量設計です。給水リザーバーは専用ポケットやスリットではなく、フックにつり下げるタイプ。チューブはショルダーストラップ上のテープを通すだけ。もちろん、左右どちらのストラップにも装着できます。
フィールドから生まれた開発哲学
カナダ西部、バンクーバーに近いコースト山脈。熱帯雨林から氷河、ハイアルパインに至るこの広大な自然環境がARC'TERYX製品開発の源です。デザイナー自らがフィールドに出て、変わりやすい天候のなかでギアを限界まで追い込み、戻ってきては問題点を修正する。この繰り返しが革新的な製品づくりを育んできました。
エアリオスシリーズも、そうして生まれた製品です。スピーディにフィールドを移動するためには、背負う荷物はできるだけ軽く、行動中はできるだけバックパックを下ろしたくない。そのためには、行動食や水分はどう補給するか。脱いだレインシェルを一時的に収納することや、使わないときのトレッキングポールを手軽にアタッチできる工夫も必要だろう。そうした数々のアイデアは、すべてフィールドでの実体験から生まれたものです。
エアリオス 30 バックパック
「エアリオス 30」は超軽量な中型バックパックながら、日帰りのハイキングからオーバーナイトハイキングまで使い方を限定しません。シンプルでありながら自由度の高いディテールは、豊富なフィールド経験から生まれたものです。
エアリオス 15 バックパック
「エアリオス 30」とほぼ同様の機能とディテールをもちながら、シングルデイの行動に適したコンパクトな容量に抑えたのがスリムな「エアリオス 15」。荷重も少ないことを想定してショルダースタビライザーを省略し、ヒップベルトもシンプルなテープタイプ。内蔵フレームシートを抜いてさらなる軽量化も可能です。日帰りハイキングからマウンテンランニングまで幅広く活躍します。
エアリオス 45 バックパック
オーバーナイトハイクを意識したのが45Lの容量をもつ「エオリオス45」。1泊のテント泊山行や、2、3泊の山小屋泊の縦走、ライトウェイトな装備を選べば複数泊のテント山行も可能です。こちらも「エアリオス30」と機能とディテールは共通しつつ、本体トップはよりタイトなパッキングが可能で、容量変化にも強いロールトップ式。さらにサイドからアクセスできる大型ジッパー付きです。