SKAHA HARNESS
独自の技術とクラフトマンシップでさらなる快適性の扉を開く
ロッククライミングのためのニュースタンダード
「スカハ ハーネス」
SKAHA HARNESS
ラインナップ全体に占めるプロダクトの数はごくわずかでも、クライミングハーネスは、多くのリピーターからの厚い信頼を集める、ブランドのコアとなる製品です。その中心を担うために誕生した「スカハ ハーネス」は、長く使い続けた生地とその印象を昇華させ、新しいインパクトを与えます。現状に満足せず、より良い方法を求めて変化する、新作ハーネスの姿にフォーカスします。
CHAPTER1
クライミングハーネスから始まったARC’TERYXの歴史
2人のクライマーが自宅の地下室で
制作したハーネスから始まったARC’TERYX
ブランドが誕生したとき、アークテリクスはクライミング用のハーネスを作る、小さなガレージブランドでした。
創業者であるデイブ・レーンは友人と二人でその友人の母親に借りたミシンを使い、自宅の地下室で制作を始め、手作りしたハーネスが仲間内で評判を呼んだのをきっかけに、1989年に前身である「Rock Solid Manufacturing (ロック・ソリッド・マニュファクチャリング)」を設立。
1991年に社名を現在の「ARC’TERYX(アークテリクス)」に変更し、アパレルやバックパックなどで幅広い支持を集めるようになった今も、ハーネスはブランドの原点として、クラフトマンシップを追求するモノづくりの姿勢に、大きな影響を与え続けています。
CHAPTER2
スカハ ハーネスの特徴
ロッククライミング全般をカバーする
オールラウンドモデル
「スカハ ハーネス」の名は、バンクーバーから東へ約400㎞、ワインで有名なペンティクトンという街にある、カナダ有数のクライミングエリア「スカハ」にちなんで付けられました。湖を望む広大なエリアに、スポート、トラッド、マルチピッチなど、さまざまなスタイルの個性豊かなルートが1,000本以上も揃っており、ビギナーからエキスパートまで多くのクライマーが、自由にクライミングを楽しんでいます。ここにあるすべてのロッククライミングシーンをカバーする幅の広さが「スカハ ハーネス」のコンセプト。このエリアの名前が製品に込められています。
圧倒的な快適性を生み出す
Warp Strength Technology™
ワープ・ストレングス・テクノロジー
アークテリクスのハーネスは、非常にユニークで革新的な方法で作られるため、一般的なものとは構造が大きく異なります。1本のスリングの縦糸を、両端を残して抜き取り、残った横糸を広げてラミネート成型をしています。こうして作られる、薄くつなぎ目のないベルトを使用したハーネスは、荷重を均一に分散し、ハンモックのように体を包み込んで、フォール時の衝撃を吸収。ロングフォールをいとわずルートに向かう多くのクライマーを魅了する、圧倒的な快適性を生み出します。ちなみに、複雑で繊細な加工は、職人の手作業によるものです。本国カナダの工場で、今も一つずつ丁寧に作られています。
1日を快適に過ごすための
軽さ・通気性・柔らかさ
「スカハ ハーネス」が力を注いだのが、着用時の通気性。ベルトの外側にはハニカム構造のモノメッシュニットを採用し、内側のライナーにも通気性の高い素材を使用して、着用中のムレや汗濡れを軽減します。また、メッシュ素材の軽さと、ベルトやフックパーツなどの見直しにより、メンズで300gを切る軽さを実現しました。素材自体の柔らかさもあり、長時間の使用でもとても快適に過ごせます。
4つのギアラックと1つのホールループ、固定式のレッグループを備え、シングルピッチ、マルチピッチのクライミングのための要素を過不足なく備えています。
CHAPTER3
進化のポイントから知る新しいハーネスの特徴とは
根本的な発想や技術はこれまでと同じですが、以前のハーネスと「スカハハーネス」との間には、見た目の印象は大きく変わりました。ひと目でアークテリクスとわかるシンプルなデザインの印象が強かっただけに、「スカハ ハーネス」は全く別のイメージを持つのではないでしょうか。
もちろんそれは、さらなる快適性のためにあえて選んだ結果。メッシュ素材の採用以外にも、さらなる快適性のために行なったさまざまなアップデートについて、具体的にどのような進化を遂げたのか、それぞれを解説します。
「スカハ ハーネス」をテストした4名のアークテリクス契約ガイドから使用感や従来モデルとの違いなど、生の感想を寄せてもらいました。
進化のポイント1
表地の素材
従来は、耐摩耗性や滑らかさを重視した素材を使っていましたが、一方で、通気性に乏しいという弱点がありました。これを、耐久性に優れた150デニールのモノメッシュ素材に素材に変更したことで、通気性が高まり、ストレス軽減が期待できます。
GUIDE IMPRESSIONS
ガイドのインプレッション
「全体がメッシュ素材になって、以前使っていた『シークエンス ハーネス』や『SL-340』に比べてムレにくいし、生地が柔らかくベルトの端が当たっても痛くないので、長時間着用しても不快感がありません。生地の厚みが増えた分、ベルトが細くなったので、折り畳んだ時のコンパクト性はあまり変わらない印象です」(井坂)
「メッシュ素材を使用しているので、日本の暑い夏でも快適に使用できそう」(照井)
進化のポイント2
軽量化
最大の要因は素材の変化ですが、レッグループのゴムバンドを細くするなど、細かい部分の変更も合わせることで、『シークエンス ハーネス』と比較して72gの軽量化を実現しました。
GUIDE IMPRESSIONS
ガイドのインプレッション
「持った瞬間に軽さがわかります」(井坂)
「着用したときに、より軽さを感じました」(照井)
「以前使っていた『AR-395』に比べてやはり軽いです。また、表面積も少なくなっているので携行性に優れています」(川崎)
進化のポイント3
ウエストベルト、レッグループの形状
素材の変更に伴って、全体のパターンを再設計。ウエストベルト、レッグループともコンパクトになり、荷重バランスや衝撃吸収性能がさらに向上しています。
固定式のレッグループは、荷重時の安定感があり体にフィットするタイプ。ゴムバンドは手軽に交換できる仕様になりました。
GUIDE IMPRESSIONS
ガイドのインプレッション
「ウエストベルトとレッグループの荷重バランスがアップしており、ハーネスに座ったときも、足を伸ばした状態で吊られたときも、ハーネスがずり上がらない。ロングフォールするようなルートでも安心感があります」(新名)
「スカハは腰50%・右脚25%・左脚25%くらいの荷重分散の感覚。登る、降りる、ぶら下がるという動きにストレスがなく、着用感がいいので、ハーネスを着用するか迷う必要がありません」(照井)
「『SL-340』と比較して、ウエストベルトが細くなっているので、ムーブの妨げになりにくい」(井坂)
進化のポイント4
ビレイループの仕様
ビレイループにあった棒状の補強材(バータック)がなくなり、ビレイ時の引っかかりが解消。しなやかさが増して、着け心地や動きやすさも向上しました。
GUIDE IMPRESSIONS
ガイドのインプレッション
「『シークエンス ハーネス』と比較して、レッグループの付け根のスリングや縫製がしなやかで動きの妨げにならない」(井坂)
進化のポイント5
ギアラックの固定化
好みに合わせてギアラックの向きを変えられる仕様から、シンプルで使いやすい固定式に変更。軽量化に貢献します。
CHAPTER4
4人のプロからユーザーへ
最後に4人から「スカハ ハーネス」の全体的な印象や、おすすめの使用シーンなどを伺いました。さまざまなのハーネスを使った経験があり、使用する機会が圧倒的に多いプロの意見をご紹介します。
レベルを問わずに使えるハーネスです
従来のモデルに比べると全体的にサイズが小さめで、一つ大きいサイズにするか非常に悩みましたが、結局は同じサイズにしました。メッシュに雪が詰まって凍る可能性があるので、冬山やアイスクライミングには向きませんが、ジャンルを問わずロッククライミングにおすすめです。
個人的には、1日中ハーネスを着用したままでハードなクライミングを強いられるマルチピッチルートや、自分にとってチャレンジングなグレードのフリークライミングで使用してみたいです。
井坂 道彦
公益社団法人日本山岳ガイド協会認定
山岳ガイドステージⅡ
初心者からエキスパートまでおすすめ
体に沿うようなシェイプ、包まれるような安心感と動きへの追従性など、アークテリクスのこだわりが詰まったハーネスです。ディティールを学ぶことで、より愛着と安心感が生まれるかもしれません。これからクライミングを始める方からエキスパートまでおすすめですが、試着をして、左右のギアラックの位置やレッグループのサイズ感などを確認してから購入することをおすすめします。
照井 大地
公益社団法人日本山岳ガイド協会認定
山岳ガイドステージ I
スキーガイドステージ II
日本の蒸し暑いコンディションにも最適
日本人の平均身長体重の私に、Sサイズが完璧にフィット。ベルトを締め込むと、ギアラックがちょうど左右対称の位置に来て使いやすいです。ロングフォールするようなスポートルートで安心感があり、吸水しにくそうなので沢にも良さそう。日本の蒸し暑いコンディションにも最適です。
初級者・上級者問わず使えますが、ハーネスは最初から最高のものを買うべき。シューズと違い、初心者用は必要ありません。
新名 健太郎
公益社団法人日本山岳ガイド協会認定
山岳ガイドステージ I
スキーガイドステージ I
岩稜などフリークライミング以外でも活躍
岩稜帯での確保しながらの歩きなど、フリークライミング以外でのロープ使用の場面で活躍できるハーネス。沢登りにも使えると思いますが、ギアループが少々長めなので、歩くときにギアがぶらぶらする可能性があるので気をつけましょう。ウェスト、足周りの径が細めなので、試着をおすすめします。
川﨑 拓兵
公益社団法人日本山岳ガイド協会認定
山岳ガイドステージ I
スキーガイドステージ I
CHAPTER5
ラインナップ
CHAPTER6
完璧なハーネスをめざして
アイデアが生まれ、プラットフォームを作り、プロトタイプを作成。デザイナーの試行錯誤とクライマーによる幾重ものフィールドテスト。ひとつのハーネスが完成するまでの過程を動画でご覧いただけます。最高峰の技術と創業時からのスピリットが生み出すクライミングギア誕生のストーリー。