アークテリクス本国契約アスリートによる「INTERMISSION in Tokyo」Cole Richardson(コール・リチャードソン)インタビュー
アークテリクスは、本国(カナダ・バンクーバー)と契約をしているプロスキーヤー「Cole Richardson (コール・リチャードソン)」と3人のアーティストが映像と写真、アートをコラボレーションさせた写真展『INTERMISSION in Tokyo』を明日より開催します。
今回の展示にあたってアスリート本人へ行ったインタビューを公開いたします。

Cole Richardson(コール・リチャードソン)インタビュー全文
「INTERMISSION(インターミッション)」という⾔葉は、本来、物語の途中で設けられる「幕間」を意味します。物語の流れを⼀旦⽌めて、これまでを振り返り、内容を磨き上げ、新たな展開を考える貴重な時間です。
私にとって、この「インターミッション」は思いがけない形で、半ば強制的な「休憩」の時間としてやってきました。2023 年1 ⽉7 ⽇、北海道でプロスキーヤーとしての⼈⽣を左右する⼤怪我を負い、1 ヶ⽉間の⼊院⽣活を余儀なくされたのです。この出来事は、私のキャリアと⼈⽣に突如⼀時停⽌を強いるものでした。しかし、この経験をしたからこそ、「インターミッション」という⾔葉の持つ深い意味に⼼惹かれるようになりました。
私にとって「インターミッション」は、明確な始まりと終わりのある特別な期間です。その間に起こる変化を⼤切なものとして受け⽌めるための、いわば招待状のようなもの。この捉え⽅をするようになり、困難な状況に直⾯したときも前向きでいられるようになりました。「元の状態に戻れる、完全に回復できる」という希望を与えてくれたのです。それと同時に、「何かを深く理解するには、⼀度そこから離れてみることが⼤切だ」という考えにも⾄りました。そして、この怪我は図らずも⾃分の思想を実際に試す良い機会となったのです。
アスリートとしてのアイデンティティを失った私は、スキーよりも⾃⾝の健康回復に注⼒せざるを得なくなりました。完治できないかもしれないという不安は⼤きかったものの、この経験が⼈⽣とキャリアを新たな視点で⾒つめ直す機会となりました。スキーの本質的な意味を再考し、雪⼭とは縁遠い⼈々がウィンタースポーツをどう捉えているか想像する時間を与えてくれました。⻑年没頭してきたスキーから強制的に距離を置くこ
とで、スキーへの向き合い⽅やキャリアを⾒直すきっかけとなったのです。この過程で、⾃分の創造性や意欲を再評価し、調整する余地が⽣まれました。そして、こうした思考の延⻑線上に、今回の展⽰会という構想が浮かび上がってきたのです。
スキーは私にとって単なるスポーツの枠を超えた存在で、⾃⼰表現の場であり、創造⼒、カルチャー、そして他者との協働でもあります。2023 年の怪我による強制的な「インターミッション」は、この認識をさらに深める機会になりました。スキーの魅⼒や表現⼒を、ギャラリーで展⽰する芸術作品として提⽰できないか、という新たな意欲が湧いてきました。この気づきが、今回のプロジェクトの出発点となったのです。従来、スキーヤーは映像やリール、SNS コンテンツなどを作るのがお決まりでしたが、その固定概念から脱却し、挑戦したいと思いました。そして、スノースポーツの枠を超えたインスピレーションを与えてくれる3 ⼈のアーティストと出会います。彼らは、私⾃⾝や私のストーリー、スキーを、独⾃の視点で捉え、単に私個⼈の経験を描くだけでなく、現代社会におけるスキーの意味や価値を新しい⾓度から照らし出してくれたのです。
この「インターミッション」プロジェクトは、アクションスポーツの表現や発信⽅法に新たな⾵を吹き込む試みです。業界の型にはまった表現から脱却し、私たちの⽣き⽅をより多⾓的に伝える新しい視点を提案します。
本展⽰の狙いは、ソーシャルメディアの枠を超えて、冬という季節と向き合う、新しい⼊り⼝を作ることです。
来場者⼀⼈ひとりが、⾃分のペースでゆっくりとウィンターシーズンの魅⼒を再発⾒できる空間を⽬指しています。最終的には、アスリートやクリエイターに「冬の映像作品」の可能性を再考してもらい、私たち⾃⾝の表現の幅を広げるきっかけになればと考えています。
この展⽰を通じて私が探求したいのは「思いがけない静寂の中にある美」です。このプロジェクトは単なる復帰や復活を描くものではありません。むしろ、その「間」にある瞬間の尊さを称えたいと考えています。
The INTERMISSION
コール・リチャードソン

「INTERMISSION in Tokyo」開催概要
期 間:2025年2月8日(土)~ 2月11日(火・祝)
時 間:11:00~19:00 ※最終日のみ17:00閉場
場 所:代官山T-SITE GARDEN GALLERY [MAP]
入場料:無料(BIRC CLUB会員のお客様は後日アプリに入場チケットを配布いたします)
皆様のご来場をお待ちしております