AERIOS 35
自分だけのベストフィットを作り出す
バックパック「AERIOS 35」のフィッティング解説
AERIOS 35(エアリオス 35)
日帰りからファストハイク、縦走まで活躍するシンプルな構造の軽量テクニカルバックパック「エアリオス」が、今季大きなリデザインを果たしました。
フレキシブルな収納システムや、軽さ、耐久性はそのままに、ヒップハーネスとショルダーベルトのシステムが大幅にアップデート。繊細で自由度の高い調整が可能になりました。
生まれ変わった「エアリオス」のベストフィットのための調整方法を、ステップごとにご紹介していきます。
CHAPTER1
自在なフィッティングを可能にする、エアリオスの秘密
エアリオスバックパックは今シーズンのリデザインで、メンズ・ウィメンズの2モデルからジェンダーレスの1モデルに変わりました。サイズは背面長の異なるSHORTとREGULARの2サイズを用意しています。
【背面長】
SHORT(ショート):42.5〜47.5cm
REGULAR(レギュラー)46.5〜51.5cm
骨格や筋肉の付き方に大きな違いの、ある男性と女性の体型に一つのモデルで対応するために採用したのが、無段階で調節可能な新開発のショルダーベルトとヒップハーネス。性別だけでは分類できない、人それぞれの細かな体型の違いにアジャストする理想のフィッティングを実現します。
CHAPTER2
ベストフィッティングの手順
STEP1:現状のフィッティングを確認する
パックに適量の荷物を入れ、普段背負うときと同じようにベルトやスタビライザーでフィッティングを調整してみましょう。
この時点でベストなフィット感が得られればそれ以上の調節は不要ですが、違和感がある、もしくはよりフィット感を高めたいという場合は、それぞれの体型や好みに合うようにヒップハーネスとショルダーベルトを個別に細かく調整していきます。
STEP2:ヒップハーネスの調整
①ヒップハーネスを取り外して長さと位置、角度を調整する
背面のスリット内側の面ファスナーで固定されたヒップハーネスを本体から外し、ウエストに巻いてバックルを引き、体にフィットさせます。
大型バックパックのように腰骨を完全に覆う位置ではなく、背中の上部で荷重を受け止めやすい、腰骨の上に収まる位置に合わせます。
ウエストが細くバックルが当たってしまうなど、ベルトを引くだけではサイズが調節しきれないときは、背面の調整ベルトを使って長さを変更。サイドポケットも使いやすく配置することができます。
上下の長さを変えればカーブを作ることも可能。体の曲線に立体的にフィットして、骨盤の形やウエストの太さなどに関わらず隙間のない状態にセットすることができます。
②ヒップハーネスを戻して背面長を微調整する
全体の長さ調整ができたら、左右の長さが均等になるよう注意してベルトを本体に戻します。
面ファスナーは縦方向の幅に余裕があるので、付ける位置によって背面長の微調整が可能。最初はベルトが傾かないよう下端に合わせておくと良いでしょう。
STEP3:ショルダーベルトの調整
①ショルダーベルトを調節できる状態にする
パック内部のセキュリティポケットの裏にある背面パネルを引き出します。
ショルダーベルトのスタビライザーを外せば完全に抜き出すことも可能。
② ショルダーベルトの長さと角度を調節する
面ファスナーで固定されたショルダーベルトを外し、好みの長さと角度を調節します。
1インチ間隔で施されたステッチを目安に、左右が同じ長さになるよう設定しましょう。
角度を変えることで、なで肩やいかり肩、肩幅や首の太さの違いなどに合わせて自在に調整が可能です。
③ ボディの両面から左右のバランスを確認する
背面パネルを元の位置に戻し、外側からもショルダーベルトの状態をチェック。
左右の長さや角度が均等になっていたら一度背負って左右の感覚に違いがないかを確認しましょう。
STEP4:全体のバランスを確認
この状態で適量の荷物を詰めて背負い、最初の状態とのフィット感を比較します。
ベルトやスタビライザーなどを一度すべて緩めて再度フィッティングしたら、登山のシーンをイメージして体を大きく動かしてみましょう。
フィット感が増したか、バランスに違和感がないか、締め付けや動きにくさがないかなどを観察し、気になる部分があれば繰り返し調整を行ないます。
CHAPTER3
同じサイズでここまで変わる体格の違う3人のフィッティング実例
エアリオスのフィッティング機能を使うことでどれくらいの体格差をカバーすることができるのか、実際に体格の違う3人のモデルが同じサイズ(SHORT)をフィッティングする様子を見てみましょう。
A:身長176㎝/男性
【アンフィット ×】
ショルダーベルトを目盛りの最大値よりも長くし、ウエストハーネスを一番低く設定しても、SHORTサイズだとやや背面長が短い状態。
身長170㎝以上なら、REGULARが適正サイズと考えていいでしょう。
「肩回りのフィット感は申し分ないものの、前かがみになる動きなどで余裕のなさを感じました。荷物の量や行動時間に合わせてフィッティングを微調整することなどを考えると、もう少し背面長に余裕のあるREGULARサイズがちょうどいいと思います」
B:身長158㎝/女性
【アンフィット ×】
18㎝の身長差があるAの男性に合わせたものを背負ったところ。ストラップやスタビライザーを最大限に引いても背中に隙間ができる状態で、通常であれば検討には値しないと判断されるレベルです。
【ベストフィット◎】
ショルダーベルトの目盛りをさらに短くし、ウエストハーネスも背面の調整機能を使ってサイズと角度を調整。ショルダーベルトの根元を少し内側に寄せ斜めに固定することで首元に余裕ができ、胸から脇のラインにスムーズにフィットしています。
「調整前と後で同じものとは思えないくらいフィット感が違いました。いつも多少はなにかを妥協して使っているので、ショルダーの角度やウエストハーネスの位置まで微調整できるのがとてもいいと思います」
C:身長169㎝/男性
【アンフィット ×】
158㎝女性に合わせたフィッティングで、169㎝の男性が背負ったところ。 ショルダーストラップを緩めることで背負える状態にはなっていますが、荷物の位置が本来の位置よりも下がり後ろに引っ張られることでショルダーベルトのポケットの位置が高くなり、使いづらい状態になっています。
【ベストフィット◎】
ショルダーベルトの目盛りをさらに短くし、ウエストハーネスも背面の調整機能を使ってサイズと角度を調整。ショルダーベルトの根元を少し内側に寄せ斜めに固定することで首元に余裕ができ、胸から脇のラインにスムーズにフィットしています。
ベストフィットを得るためのコツと注意点
・最初に適正身長を目安に、2つのサイズからどちらかを選びましょう。広い範囲で細かい調整ができますが、効率よくベストなフィッティングを得るにはベースとなるサイズが適切であることが基本です。
・フィッティングをする際は、できるだけ実際に近い荷物を入れた状態で行いましょう。荷重バランスが明確になり、フィッティングの精度を上げることができます。
・左右のバランスやチェストベルトの位置など、背負った状態で自分からは見えづらい部分の確認のために、フィッティングの際はほかの人に見てもらうか、鏡を見ながら行うことをおすすめします。
・ショルダーベルトの目盛りはあくまでも目安なので、とくに左右のバランスは背負った感覚を優先して長さや位置を決めてください。
繊細で自由度の高い調整が何度でも可能ですが、一度自分に合ったベストフィットを作ってしまえば、あとはベルトやスタビライザーなどの手軽な調整でそのときどきのベストな状態をコントロールすることができます。
性別や体型だけで分類できない、一人ひとりの体に合わせたフィッティングができるエアリオスで、あなただけの完璧な背負い心地を手に入れて快適な山のアクティビティをお楽しみください。